SS徒然未分類リネ日記
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2007.04.08 Sun
ここはいつもの横島邸。

しかし『いつも』とは異なり、自室には居候の『未来からきたキツネ型妖怪』の姿は無く、煩悩少年しか存在していない。

『ちょっと未来に行ってくるわ。一日か二日空けるけど……犯罪に走っちゃダメよ?』

ということらしい。




そんなわけで、横島は久々の開放感を満喫したりしていた。

そして、彼が久しぶりの『一人の夜』を十分に堪能し、翌朝高校に登校すると、そこである種の既視感を覚えるような事態に直面した。

「なあ愛子?」

「…言わなくてもいいわよ」

そう、ごく一般的な学校の机というものは、教科書やノートを収納する場所はあるのだが、大体がその為の「荷物棚」のようなものが設けられているが普通である。
間違っても、今目の前にある自分の机のような「コイ○ミ学習机」みたいなちゃんとした引出などついていないのだ。

クラスメイトも皆が『これってアレだよなぁ?』という目付きで此方を見ている。

……………………
………………
…………
……ビーーーぺたぺた。

横島は、引出をガムテープで厳重に封印すると、何事もなかったかのように席に着いた。
ちょうど先生も着たらしい。
彼の高校ライフは、何事もなく無事はじまったようだ。




1限目:国語

「横島、お前来週の追試うけんと本当に留年だからな?」
「そんな殺生な~!」
『…………』

2限目:世界史

「…ドイツの科学技術力はぁぁ!世界一イイイィィィィ!!!!」
「なぁ、あれ誰だ?」
「新しい先生でドイツ人らしいわよ?」
『………………ぐずっ』

3限目:英語

「あい~むそ~り~ヒゲそ~り~。赤子泣いてもフタとるな~」
「……英語?なのか?」
『……うっうっうっ』

4限目:数学

「…というわけで、メイド集合Bはコスプレ集合Aに含まれるわけであります。」
「ふんふん、勉強になるな」
「……例題に訂正を要求したいわ」
『しくしく…しくしく』






そして、昼休み

「ねぇ、さすがに可哀想なんじゃない?」

「…ん~たしかになぁ」

『しくしく』と止まることなく引出の中から聞こえる嗚咽。
級友達の視線も『うっとおしいからなんとかしろ』と言わんばかりだ。

ため息を一つ吐くと、横島はガムテープの封印を解き、引出を開けた。

「うわぁぁぁぁぁん!!!!」

引出から飛び出した影は、…ズシッ…という鈍い音を立てながら横島にタックルをかますと、そのまま教室の壁に激突した。
ちなみにこの時点で既に横島の意識はない。

「暗かったでござる!狭かったでござる!さみしかったでござるよぉぉ~~!!」

泣きながら、横島をガクガクと揺する『白い犬の着ぐるみを着た少女』。
そして、カクカクと糸の切れたマリオネットのようにゆれる横島。
このなんとも微笑ましくも痛ましい光景は、横島の意識がもどるまで続いた。

……………………
………………
…………
……

「…いちおう聞いておくが……お前は何ものだ?」

ようやく復帰した横島。致死性の一撃であったはずだが、流石である。
目を開けると、例の着ぐるみ少女が居るわけで、しかたなしに尋ねた。

「良くぞ聞いてくれたでござる!
 拙者の名は『シロミ』未来からきたオオカミ型妖怪でござるよ♪」

…えへん…と胸を張ってそう言い切る着ぐるみ少女。
周囲からは『やっぱりなぁ~』というなんとも言えない視線が集中する。

「いまいち反応が新鮮ではないでござるな??」

「…色々あるのよ…そう色々と」

愛子がクラスを代表する弁を述べた。




「……で何しにきたんだ?」

そう、これが重要であった。はっきり言ってアレな存在はタマモ一人で十分である。

「拙者、タマモが居ない間を、お願いされたでござるよ」

だから、タマモが帰ってくるまでは横島について世話をするのだ…と『オオカミ型着ぐるみ少女』は言った。

「…いらん!っていうか帰れ」

「そんな、殺生でござるよ」

とにかく傍に置いてくれ…とシロ(何故か?呼び名はシロ)は涙目で縋った。

横島忠夫という人間は、基本的に煩悩全開でバカではあるが、同時に仁愛あふれる男でもある。目下の者の涙を無下にできるものではない。

つまり

「…あ~迷惑かけんなよ?」

「居ていいのでござるか?!」

となるわけだ。




こうしてとりあえずシロ問題は一応解決し、クラスメイト達もバラバラと各々の用事に散っていった。
横島も昼休みになので、昼食をはじめるべく、鞄から弁当を取り出す。

それを食おうとしたのだったが、ふと横から興味津々の視線が弁当に突き刺さっているのに気がついた。

「弁当がほしいのか?」

横島はシロも腹が減っているのかと考えたのであったが、

「…横島殿は、菜食主義者なのでござるか?」

帰ってきたのは、そのような返答だった。
タマモが来てからは食材が提供されるので、横島は弁当持参になっている。だが、彼女の出す食材は、言ってはなんだが非常に偏っているのである。

したがって、彼の弁当を彩るべきオカズは、常に『揚げ』と『ネギ』、変化を凝らして『うどん』であった。

無垢の凶器。知らぬ故の残酷。言葉の刃は彼の心を切り裂く。

「うぅぅ、俺だってたまには肉食いたいんじゃぁぁ!!」

泣きながら弁当を掻っ込む横島、白いご飯に塩気が混じる。もしかしたらそのまま食したよりも美味いのかもしれない。

「…横島殿はベジタリアンというわけではないのでござるか?」

重ねてシロが聞いてきた。そして

「拙者、肉関係は得意でござる♪」

とおっしゃった。


その言葉に箸を止める横島。もしかしてもしかすると、自分は大変な拾い物をしたのではないだろうか?という気になる。

「肉…食えるのか?」

「もちろんでござる!」

淀みなき即答。神様ありがとう!

「シロ!さっそく出してくれ!すぐ食おう!」

横島はシロに迫る。もう押し倒さんばかりの勢いだ。

「了解でござるよ!拙者がんばるでござる!!」

シロはそう言うと、お腹のポッケをごそごそし始めた。

……………………
………………
…………
……

「…なあ?これは何だ?」

「?『弓』と『矢』でござるが?」

横島の手に握られているのは、いわゆる「弓矢」。それもとても大きい和弓だ。
この時点で、ものすごく嫌な未来が確定的であったが、それでも横島は目の前の『オオカミ型妖怪』に尋ねた。

「あ~、非常に聞きたくないんだが、もしかしてこれで獲物を……」

だが、尋ねられている当の本人はそんなこと聞いちゃいない。
首輪についた鎖の先は、何故か『手錠』で、それを躊躇なく横島の左手にはめてしまう。

「狩るとか言わんだろうなあぁぁぁぁぁ~~~??!!!!」

「大丈夫!拙者よい狩場をしっているでござるよぉぉぉぉ~」


そして、二人は素敵なドップラーを残しながら教室から飛び出していったのだった。

……………………
………………
…………
……






「……ひでえ目にあった……」

横島が帰宅したのは、夜もどっぷりと暮れた時刻のことである。
ちなみにシロは交代時間がきたとかで、とっくに未来に帰ってしまっている。

横島は疲れた足を引きずって、アパートの階段を登った。

「ん?電気点いてねえな?タマモの奴、まだ帰ってきてないのか?」

交代時間云々と言っていたので、既にタマモが居るものと思っていた横島は、なんとなく拍子抜けした感じで鍵を開ける。しかし、彼の足はドアを開けたところで止まった。

暗闇にポツリと座っている影がある。
夜目になれてくると、それがタマモだと分かった。

「おっ脅かすなよな、電気くらい点けろって」

横島は手探りで電灯のスイッチを探すと、明かりを灯した。
そして、そのままテレビの電源も入れる。

テレビからは人気バラエティー番組のオープニングが流れてきた。
チャンネルはそのままに、横島は台所にいくと、夕飯の支度をはじめる。

「飯食ったか?俺はこれからなんだが…お前も食うか?」

タマモは答えない。

「そうだ!今日『シロミ』とかいうのが来てたぞ。まったくひでえ目あった……」

キツネ少女は答えない。

「…タマモ?」

「…横島」

下を向いたまま、初めてタマモが口を開いた。

「…私、未来に帰るの」









おしまい








後書きのようなもの

え~とはじめまして、キツネそばです。
@1です、がんばります;
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